第82号 法政大学工学部同窓会報を12回に渡り,毎週火曜日に公開していきます. ロボットコンペティションとモチベーション
小林一行教授東京都出身経歴 2009年〜 法政大学工学部システム工学科 教授2011年〜 法政大学理工学部創生科学科 教授
― 現在の研究テーマ(本人及びゼミ)は何ですか? センサは、システムを制御するための鍵になります。目的に合ったセンサがあれば、制御は容易になります。ここでは、複数のセンサの先験情報を用い融合することで目的に合った情報を取り出し、より賢いシステムを構築することが目的になります。 これらシステムを実証する具体例として、自律走行車の開発を行っています。 インターネットからの情報発信としては、3つのホームページで行っています。それぞれ1.MATLAB関連 http://www.ikko.k.hosei.ac.jp2.PSoCマイコン関連 http://www.ikko-lab.k.hosei.ac.jp3.自律走行関連 http://www.arl.k.hosei.ac.jpでテーマを分けて運用しています。 ― ゼミの活動状況はどのようになっていますか? 6月のIGVC大会、11月のつくばチャレンジへの参加。学会発表は、国内発表、国際会議等7月9月12 月1月3月、適時行っています。 IGVC大会は、米国で開催される大学生向けの無人移動ロボット競技大会で、2011 年6月で19回目となる大会です。研究室の参加は、1996年から毎年(途中2003年 SARS、2009年豚インフルエンザを除く)参加しています。 つくばチャレンジは、2007年から毎年開催されている自律型移動ロボットの大会で、研究室としては、2008年から毎年参加しています。― コンペティション・チャレンジの成果はいかがでしたか? 2010年は、前述の通り、2つの大会に参加しました。 IGVC大会は、4つの競技があり、自律走行競技は、4位、ナビゲーションチャレンジ2位、JAUSチャレンジ2位、デザインコンペティション5位で、総合ポイントで、準優勝という結果でした。中でも、惜しかったのは、優勝したUniversity of Detroit MercyのチームにJAUSチャレンジでは、1秒差、ナビゲーションチャレンジでは16秒差でそれぞれ競り負けてしまった点です。 つくばチャレンジは、2台の出場車両を用意し参加しました。2台のロボットとも、予選通過をすることができましたが、本戦では、それぞれ、70mリタイヤ(Amigo 2010)、559mリタイヤ(Orange2010)という結果でした。実験走行では、自律走行で、課題達成はできる程度のプログラムの作り込みを行うことができたのですが、本戦においてのセンサの誤動作、想定外の状況判断など反省すべき点がいくつか残りました。 ― なぜ、コンペティション・チャレンジに参加するのですか? 研究室としてコンペティション・チャレンジに参加することは、研究の促進の効果もありますが、学生自身の自主性および成長の場を提供する効果が大きいと考えています。コンペティション・チャレンジと研究活動を連動することで、学生のモチベーションの向上にも効果があると考えています。 特に、コンペティション・チャレンジに参加することは、最近の企業の就職担当者が要求している、「成果を出すための行動特性(Competency)」を顕在化する手段として有効ではないかと思っています。目的を設定し、その目的に対しどのように努力をするのか、どのような成果を出すのか。このことにより、達成感、悔しい思いが、チームワーク、自己の成長、今後の研究活動における自信につながり、それが就職活動での自信につながっていくのではないでしょうか。学生にもそれぞれ適性・資質があるため、ゼミ生全員がコンペティション・チャレンジに参加するわけではありませんが、これらを通じた教育効果は、非常に高いと感じています。 ― 大学及び同窓会へのご意見がありましたらお聞かせ下さい。 経済状況の厳しい今だからこそ、縦の糸としてゼミ同窓会、横の糸として同期会、学科同窓会、これらをとりもつ学部同窓会としての役割は大きいと思います。 就職状況についても同様です。今年度から理工学部は、完成年度を迎え、新たに理工学部第一期生が生まれる予定です。新たに仲間入りする可愛い卒業生のために皆様 OB、OGの方々のお力添え、アドバイスをよろしくお願いいたします。 ― 本日はお忙しいところありがとうございました。聴き手 大塚元章(電62) 秋山 源(経91)