第52号 機械工学科同窓会報 機械工学科同窓会報を4回に渡り,毎週水曜日に公開していきます.
機械工学科教員退任の挨拶「人に優しい機械」
私は1997年4月1日に法政大学工学部機械工学科に赴任し、爾来14年間勤務し今年3月末で定年退職いたしました。その間、同窓会の皆様から温かいご支援をいただきながら、学生の教育指導を無事務めることができましたこと厚く御礼申し上げます。私の主な担当分野は機械要素設計Gr&マテリアルプロセッシングGrで、学部生には機械デザイン、機械工作法(マテリアルプロセッシングⅡ)、機械要素設計、機構学、機械設計製図、卒業研究、大学院修士には鉄鋼材料工学特論と修士論文研究、大学院博士課程には鋼管加工法と鉄系形状記憶合金の教育と研究指導を担当してきました。私は法政大学に赴任以前は新日本製鐵㈱に勤務し鋼管や形鋼線材などの鉄鋼製造部門に関する研究開発に邁進して参りました。法政大学では多くの企業と共同研究を行い研究開発を進めてきました。そして、14年間の間に私のゼミから学部生は約200名、大学院修士課程は約40名、大学院博士課程2名を社会に送り出し日本の製造業を支える技術者として活躍していることが私にとって何より嬉しいことです。
機械工学科主任を1999年、機械工学専攻主任を2000年に勤めましたが、丁度、本学機械工学科の教育環境が厳しくなる時で教学改革に生き残りをかける大切な時でした。小金井の工体連少林寺拳法部の部長を長い間勤め学生の部活動を支援することが出来たのも思い出の一つです。退任前の2009年と2010年には工学部の主任を2年間引き受けて、工学部の最後学生を送り出す大切な役割を無事全うして退任できたことは幸いでした。しかし、2011年3月の折角の卒業式の行事が大震災と原発事故のため中止となり卒業証書だけを数日間にわたって手渡しすることとなりましたが、機械工学の技術者として原子力発電の安全性についてその判断の甘さを真に反省しております。やはり機械設計のコンセプトは「人に優しい機械」であることを改めて肝に銘じました。
機械工学科の14年間を振り返ってみましたが、私の心に残っていることは、同窓会のOBや学生の御両親が一体となって教育活動を大いに支援していただいたことです。人間は絆がないと弱く、絆があると強く発展すると確信いたしました。本当に長い間ご支援ありがとうございました。