デザイン工学部長 草深守人 2007年4月、東京都心の市ヶ谷に「デザイン工学部」を開設しました。そして4月には、施設整備の第一段階である念願の新キャンパス市ヶ谷田町校舎が完成しました。デザイン工学部にふさわしい教室や真新しい設備に囲まれた素晴らしい環境の中で、新入生の学習・研究活動が始まっています。 私達の学部が目指すデザインの定義は、初代学部長である小林尚登教授が語る「幅広い観点からの総合的なモノづくり」、つまり「ホリスティックデザイン(総合デザイン)」です。ですから、当学部では、単に「モノ」の形をデザインするだけでなく、工学を基礎とした「デザイン工学」という新しい創造的な学問を身につけることで、ものを作る一連のプロセス全般に関わる人材を育成する事を教育理念に据えています。したがって、学生の皆さんには、工学の理性だけでなく、美系の感性と文系の知性をあわせもつ技術者としての素養を身につけること求めます。 21世紀のいま、ものづくりの本質である「用・強・美」に加えて、「安全・環境」への配慮が強く要請される新しい時代にあって、それに対応できる創造性豊かな人材が求められています。そうした時代のなかで、当学部の卒業生達は、急速に多様化する社会システムの中で、それぞれの役割を分担しながらデザイン工学の知識と技術をフルに活用し、さまざまな使命を果たしていくものと考えます。 デザイン工学部の具体的なミッションは、「工学」と「美学」の融合から生まれる新しいモノづくり・空間づくり・都市づくりです。この学部は、時を超えて人の心に残る建物を造る事が出来るような人材を育てる「建築学科」、21世紀の街や景観をつくるシビックデザイナーを養成する「都市環境デザイン工学科」、デザインの視点からテクノロジーをとらえ、様々な製品を作ることが可能な人材を育成する「システムデザイン学科」の3学科から構成されます。 カリキュラムには、「ユーザセンタードデザイン」「サスティナブルデザイン」「ユニバーサルデザイン」などに代表されるデザインの基本的な考え方を学ぶと同時に、それを具体的な「モノ」として表現・実現するために不可欠な要素技術としての工学科目群、そして色彩や造形などの審美的な素養を磨くデザイン科目群などを配置しています。 私達は、ものづくりの新しいコンセプトのもとで、世界各地の様々な文化を吸収・融合しつつ、独自の日本の文化を醸成し、世界に発信する先駆けとなることを卒業生に期待しています。
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