法政大学工学部同窓会
 
2023年3月28日(火曜日)
先生こんにちは!ウィルスの工学的研究 印刷 Eメール
生命科学部 生命機能学科

本田文江教授

熊本県出身
奈良女子大学理学部
  〃  大学院理学研究科修士課程修了
名古屋大学・理学博士(論文博士)
ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校マウントサイナイ医科大学にて博士研究員
東京大学医科学研究所客員研究員

現在の学部学科の状況
 生命科学部設置年度:H20年
 工学部物質化学科生命機能コース:H18年度
 生命科学部在籍者:学部1年生
 生命機能学科在籍者:学部3年生
 大学院生:工学部物質化学科在籍
 生命機能学科の大学院がない理由:現在の大学院生は物質化学科生命機能コース所属のため。2010年度には大学院ができる。

──現在の研究テーマ(本人及びゼミ)は何ですか?
 1)「細胞周期とウィルス感染の関係に関する研究」この研究はウィルスが感染に際しどの細胞周期を好むのか:最先端の光ピンセットによるウイルス補足と細胞への搬送。生化学的解析
 2)「ウィルス感染による細胞側の変化(ウイルスと細胞の戦い)」ウイルス感染による細胞内遺伝子発現解析、タンパク質修飾解析が主なテーマです。
──現在の研究環境の状況は如何ですか?
 科学研究費や大学の補助で研究設備は充実していますが、研究室が学生の数に比較して狭いのと、学生の居室(学生が実験の合間に休憩したり、研究内容に関し議論したり文献を実験の合間に読めるような部屋)がありません。
 他校工学部との連携による共同研究(東北大、名古屋大、奈良先端大学等)が進行しているため、学生にとって他校の学生を知る機会に恵まれています。
──これからの研究テーマと教育についてお聞かせ下さい。
現在の研究テーマ
 1)細胞周期の依存したウィルス感染
   ウィルスはどの細胞周期を好むか
 2)ウィルス感染による細胞側の変化(ウィルスと細胞の戦い)
 細胞はウィルス感染により抗ウィルス蛋白質を発現する
 ウィルスはいかにして抗ウィルス蛋白質から逃れているか
 1)、2)の研究を最新のシステム(光ピンセット、定量的RT-PCR)を用いて解析している。
今後の研究の展開:現在得られている結果を元に、より深く細胞の分裂(細胞増殖)を物理学、化学学、生物学的に解明していく。
今後の課題:学生がいかに早く研究の内容を把握し実験を推進してくれるようにするか。
 学生とともに下記の研究を通じて教育を行うようにしています。
・インフルエンザウィルスRNA合成酵素の分子生物学的解析
・インフルエンザウィルスのワクチン開発に関わる研究
・ウィルスに感染した細胞の変化の解析
・細胞蛋白質のウィルス感染による遺伝子発現制御機構
・ウィルス感染による蛋白質の修飾機構
──学生に対する教育・指導はどのようにされていますか?
 以下の点に注意しています。
・学生には身近なテーマを与え、達成感を持つことが出来るような工夫している。
・実験の内容と利用している方法の理論を理解するために調べ、実験結果をまとめ発表させる。
・論文投稿が出来るような実験結果を出す。
・実験を始める前に良く考えるようにさせている。
・細胞、細胞のゲノム、蛋白質を理解させるようにしている。

 在籍の学生は最先端科学で物理学的なものが面白いようです。
──ゼミの活動状況はどのようになっていますか?
・講義の合間に実験し、レポート作り、夜はディスカッションをする。
・月曜日は全員でミーティングをする。
・学生に日頃から競争意識を持たせる(技術の進歩状況などから)。
・学生数が少ないのでまとまりやすい。

 素質のある学生はどんどん伸びていく状況にあると思います。何が面白いかを良く考えてから当研究室のいくつかのプロジェクトの中から選択してもらっています。

──より良い教育のためになりそうなことはありますか?
 アメリカのジョンズホプキンス大学の教授からアメリカの科学研究費の申請を持ちかけられたことがあります。研究費は全て外部から取っています。
 インドからの学生が毎年3ヶ月間研究に来校しますが、その間英語を使用していたので、当研究室の学生も英語をだんだんと使うようになりました。英語を話す研究員や学生がいると英会話の機会が増えて語学の勉強にもなると思います。
 文部科学省の「特定領域研究」として、以下のテーマで科学研究費補助金を受けています。
 「マルチスケール操作によるシステム細胞工学(バイオ操作)」
──卒業後の学生の進路はどのようになっていますか?
 卒業生が出るのはこれからですが、現在考えられる進路は次の様なところです。
 大学院マスターコース(修士課程)への進学、
就職は製薬会社、薬品、バイオを扱う会社、官公庁及び会社の研究所の技術者等が考えられます。需要は多いと思います。
 問題点は会社の研究員にはマスターコース修了が条件となるところが多いようなので、なるべく大学院進学を勧めたいと思います。
 生命科学系はこれから益々発展する分野なので、先の見通しが明るい学科であると思います。
──大学及び同窓会へのご意見がありましたらお聞かせ下さい。
 大学では、現在マスターコース(修士課程)を申請中ですが、是非とも実現させて頂きたい。
 家庭の事情で進学出来ない人の為に、奨学金の借り入れのバックアップをお願いしたい。
 研究室が狭く、また学生の控え室がないので非常に不便を感じていますので、是非これを解決して頂きたい。
 研究設備の拡充をお願いしたい。特に電子顕微鏡を他校に借用するなど、利用が困難な状況にあります。
 同窓会とは、今後も連携出来るような環境が必要だと思います。

 本日はお忙しいところ
    ありがとうございました

聴き手 大塚 元章(電62)
    望月 久生(建73)
 
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