コンクリートの一生を考える 溝渕利明教授デザイン工学部(都市環境デザイン工学科 )
―溝渕先生のプロフィール 『コンクリートの一生』を考えることが専門です。 84名古屋大学大学院工学研究科修士課程修了、鹿島建設技術研究所、温井ダム施工管理等を経て2001年土木工学科の専任講師として着任しました。 鹿島建設技術研究所では、コンクリートのLCE(ライフ・サイクル・エンジニアリング)を研究していました。その他,コンクリート材料・施工についての研究を行っていました。 ―工学部の最初の印象はどうでしたか? 当初、工学部の校舎は『市ヶ谷』にあると思っていました。会社の寮が花小金井にあり、昔から工学部の前の道路は知っていましたが、「法政工学部」の校舎は印象に残っていませんでした。 ―都市環境デザイン工学科について 2004年に「都市環境デザイン工学科」に名称を変更しました。また、名称変更に伴い従来(構造、水理、土質、材料、計画)の5分野のタテ割りから、①都市プランニング系 ②施工デザイン系 ③環境系の3分野にまとめ、都市環境デザインの観点から学科を再編成しました。 ―溝渕ゼミではどんな研究をしているのですか? コンクリートの品質、耐久性、維持管理等の研究をしています。 その1(非破壊検査の研究) 電磁波でコンクリートの中の塩分量を推定する研究や、超音波で強度や内部欠陥の推定を行う研究をしています。その他、コンクリート中の電気抵抗を測定して、水分測定等の推定についての研究も行っています。 その2(コンクリートのひび割れ原因の研究) 施工時のセメントの水和熱に起因するひび割れや、その発生原因に関する研究を行っています。 その3(鉄筋模型による構造実験) 五感に訴える授業を目指し、実際の縮小模型鉄筋により2次元の配筋図面から3次元の鉄筋模型を作り、構造実験等を体験させる授業を行っています。CADでは立体の距離感がつかめない為、実際に手を動かして、鉄筋の縮小模型を組立てる実習は、学生にとって貴重な体験になっています。 ―最近の学生の傾向はいかがですか? 非常に良い学生もいますが、当たり前のことを当たり前に出来ない学生が増えているようです。 目上の人への言葉遣い・態度等のマナー面があまり良くない。遅刻した場合でも自分の非を認めず他のせいにする、「ごめんなさい」が素直に言えない学生が多いようです。 ―卒業生の進路はどうですか? 今年の4年生は国家公務員(1種)に5名合格しました。最近の傾向としてはゼネコン志望が減少し、公務員(国、地方自治体)・JR・私鉄志望が増加しています。地元志向が強く、ゼネコン等の転勤が多い職場は敬遠されているようです。 大学院進学も20名程度あり、卒業生の20~30%程度になる見込みで、今後は6年間の一貫教育志向を目指しています。 ―都市環境デザイン工学科の今後についてのご意見をお聞かせ下さい。 モノづくりの面白さを体験させ、「手と頭との一致」を実感出来る学生を増やしたい。インターンシップも盛んであり、学生の企業実習で、実際のモノづくりの現場を体験させたいと思っています。 また、同学科はJABEE(日本技術者教育認定機構)認定を受けており、卒業と同時に「技術士補」の資格が与えられます。もっと「技術士(国家資格)」の社会的地位を向上させ、魅力ある学科にしていきたいですね。 ―同窓会についてのご意見をお聞かせ下さい。 若い人にとってメリットが見えないのではないか。もっと若い同期会のネットワークの広がりを支援する必要がある。 身近なゼミOB会の同期ごとの小さな集まり(飲み会)を拡大し、研究室単位、支部単位の自主的な活動のネットワークを広げていくことを期待したいと思います。 ―本日はお忙しいところありがとうございました。 聞き手 安田 彰(情報電気電子工学科教授) 中山 明(経営73) 溝渕利明教授 1959年生 岐阜県出身 博士(工学)
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