第81号 法政大学工学部同窓会報を10回に渡り,毎週火曜日に公開していきます.
工学部長に就任して

2010年4月より法政大学工学部長に就任いたしました。おそらくは最後の工学部長としてご挨拶を申し上げます。 法政大学工学部は1944年に創立された「航空工業専門学校」を前身とし、1950年に学制変更により「法政大学工学部」となっております。当初僅か4学科から出発した工学部も幾多の変遷を経て、現在では10学科を有する学部となっております。 この間、研究者および技術者として数多くの人材を輩出し、日本の工業社会の根幹を支えて来たという自負を持つ次第ではありますが、永い歴史を誇る工学部も今や大きな変革の時期を迎えております。理工系学部としては、当初、工学部だけであったものが、ここからまず情報科学部が分かれ、その後も、デザイン系3学科によるデザイン工学部が市ヶ谷に分離展開し、残されたされた小金井の工学部も3年前に理工学部、生命科学部の2学部に改組転換を行っているところであります。また、理学系教育のさらなる充実を目指し、現在、理工学部に物理学系の新学科を来年度開設すべく準備中であります。 工学部はこの改組転換により既に募集停止をしており工学部として卒業生を出すことはここ数年のうちに無くなります。現在工学部に所属する学生は900名余りで、そのほとんどは4年に在学している状況ですが、これらの学生を卒業まで指導するのが最後の工学部長としての責務であると認識しております。 工学部はまさに消えなんとしてはおりますが、その伝統と教育理念は改組転換された新学部において新たな展開が図られつつあります。工学部から理工学部、生命科学部ならびにデザイン工学部への転換に伴い、工学部同窓会にも運営上の困難が生じることは否めないでしょうが、卒業生は大学にとってかけがえのない財産であります。卒業生をまとめる組織としての同窓会の伝統を失うことなく学部構成の変化に柔軟に対応し、益々の発展をされることを期待するとともに、法政大学に対する変わらぬご支援を賜りますようお願いいたしまして、私の挨拶とさせていただきます。
理工学部の将来に向け

工学部同窓生の皆様には益々ご健勝のこととお喜び申し上げます。この度、理工学部長に就任いたしました崎野清憲でございます。 現在、設置期間中にある理工学部は、学部の基盤づくりとさらなる教学改革へ向け順調に歩を進めている状況です。その中にあって、2011年4月には新たに「創生科学科」が設置され、理工学部は5学科からなる学部へと発展して参ります。創生科学科は理工学部の深い教養と真の独創性の育成という理念を融合・発展させつつ、学士力に基づく学士過程教育に重点を置き、21世紀を担う「理系ジェネラリスト」の養成を目指しております。 理工学部では、法政大学の理念である「自由と進歩」のもと、時代の先端技術に常に対応出来る専門基盤技術を身につけた高度な「ものづくり」に携わることが出来る人材、さらには持続可能な社会の発展に貢献出来る創造性豊かで幅広い教養と国際性を身につけた自律性のある技術者・研究者の育成を目的としています。 このような認識のもとに、初年次には“自然科学の方法”“デザインとテクノロジー”、さらに生命科学部と共通の“科学実験”といった基礎教育科目を設け、広い視野をもったエンジニアを育ててゆきます。 また、履修モデルとしてコース制を設け他学科科目の履修も可能とするなど、時代のニーズと個々の学生のキャリア形成志向に応じた柔軟な学びを可能としています。 さらに、学生自身の問題解決能力を涵養するプロジェクト学習(PBL:Problem Based Learning)の導入、在学中に社会体験をさせ勉学意欲を高めるインターンシップ、工学部時代からの伝統であるノートPC貸与に象徴される充実した情報リテラシー教育など、新しい取り組みを意欲的に取り入れた教育カリキュラムを展開し、有為な人材を社会に送りだします。 2009年にはカリフォルニア大学デービス校(UC Davis)と提携協力し、短期SAプログラムを完成させました。改組と共に小金井校地のキャンパス整備も進み、2010年12月には北館が竣工し快適な教育・研究環境が実現します。新学部の快適な教育・研究環境の下、工学部の伝統を引き継ぎ研究、教育、国際化いずれの面でも優れた学部とする所存です。
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